シュンスケイマイ、 ユー・ノー? 日本初のアートでコート・リノベーション。
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go parkeyが手がけた第一弾のアートコート。2022年4月にリボンカットをした東京都中央区の浜町公園。肝心の芸術的デザインをしたのはアーティスト(画家)の今井俊介。今回は、キュレーションからペイントにいたるまで、日本初となったアートでコート・リノベーションを成功させた顛末記。
Artwork_Shunsuke Imai
Curation_go parkey
Support_Project Backboard
Location_Tokyo Hamacho
Article_go parkey
Shooting_Kenji Nakata
We are playground basketball residents like pikeys!!!
大きな壁に描かれたグラフィティアート。それがイリーガルなものかリーガルなものかは置いといて、良い意味での違和感を伴った際立つ存在。それはとても印象的だ。これは何もバンクシーから始まったわけではない。もっと昔から、公共の場に絵を描く、アートを残すということは存在していた。ただ、バンクシーによって、そっちのほうを取り締まるばっかりだった人たちも、違う興味を持ったにすぎない。go parkeyが推進するプロジェクトは、その観点でいえば完全にリーガルなものだ。さらに言うと、描くアーティストとそこで遊ぶキッズやプレーヤーが一緒にペイントして作り上げるプロジェクトである。そうやって、「よく目にするアート」をさらに身近なところの「よく行く公園」で「ペイントやプレーで関与すること」によって、コートへの帰属性を高めていく。このようにして再生した公園(プレイグラウンド)は、おのずとゴミを落とさないとか危険なことはしないといったモラル(美意識に近いもの)が育まれていく。
中央区の浜町公園。ここは日本橋浜町二丁目、隅田川の河岸にある。空にはカモメが心地よさそうに翼を広げ、たゆたう川からは潮風が流れてきて、海が近いことを感じさせてくれる。世界有数のアーバンな都市機能と自然の風合いを共存させている場所であり、ここは五輪新競技「3x3バスケットボール」の練習会場に隣接していた。サイズは半面コートよりひとまわり小さい。周囲を新緑の木々に囲まれている。中央区とgo parkeyが求めたものは、良い意味で大都会のエアポケットのようなこの異空間を際立たせながらも公園の自然が放つ天然素材を侵食しない芸術(アート)。かねてより、このプロジェクトへの協力をお願いして快諾してくれていた画家の今井俊介が描く立体的な絵画(風にゆらぐスカートやカーテンを連想させる色彩美など)は、まさにこのコートのためにあるかのようだった。画家本人がこのコートと公園の風合いに馴染んだデザインを構築、さらにはローカルキッズに混じってペイントしていった。
塗料。これはgo parkeyが直接的にアートコートに最も適しているペンキを海外から仕入れている。そのペンキは廃品を再利用してグリップが効くものに仕上げられていたり、クラックに対しての強度がある。しかしあえてサステナブルとかリサイクルという宣伝はうたっていない。そういうことは当たり前だという見地なだけだ。話が逸れたが、画家の今井俊介は東京現代美術館や福井県立美術館、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館など、背筋が伸びるギャラリーの壁に展示するような絵画をつくり続けている。コートの上で見下ろすアートは経験がなかった。それに関しては、go parkeyをバックアップしてくれているアメリカのリノベーション・アートコート団体のProject Backboardの代表であるダンがズバリ言ってくれている。「シュンスケの絵はライトエナジーが溢れ出ている。そういう作品がコートになることで素晴らしいコミュニティになっていく」。バスケかどうかは、競技線をしっかりと引けばいい。それよりも大事なものがある。ここが肝心だ。
2022年4月。ローンチイベントには、画家の今井俊介やgo parkey代表ABとともにペイントしてくれたキッズが参加。リボンカットした後はシューティングしたり1on1がはじまった。リノベーションするだけでなく、その後のこと、コートを有効活用するイベントもプロデュースできるのがまたgo parkeyの特徴のひとつ。ちなみに、ボールはスポルディング・ジャパンが提供してくれたアートボールや、共同制作した『go parkey x 今井俊介 x スポルディング』のアートボール。この時まだ実績ゼロだったgo parkeyの理念やキープオンするストーリーをイメージして信じてプッシュしてくれたスポルディング・ジャパン。go parkeyは、より多くのコートの再生のために、そういったプッシュする力を必要としているのもまた事実。大いに感謝したい。蛇足だが、この第一弾より、go parkeyのザ・フォーマルなペインターウェアは黄色のセットアップになったのだった。そこに理由はないが、汗をかくことをいとわないのはバスケットもペイントも同じだということ。