ケビン・デュラントノアートコート?新宿に美しいプレイグラウンドが完成。
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go parkeyが手がけた第二弾アートコート。2022年7月30日にリボンカットをした東京都新宿区の大久保公園。デザインをしたのはミューラルアートでミリ単位のタッチで独特の美しい世界をつくりだすアーティストのFATE。今回は、フルコート2面を1ヶ月強でデザイン&ペイントするというサイズ感や歌舞伎町という独特の都会的雰囲気やその後のイベントのことなどをまとめたコラム。
Project & ALL _Kevin Durant FOUNDATION & 2K FOUNDATION
Artwork_FATE
Curation_Kevin Durant
Direction_go parkey
Shooting_Jeremy Renault & Kenji Nakata, Kota Okuyama
Tshit Design_Riki Takasaki
Support_Project Backboard
Thanks_SHUTIE
Location_Tokyo Shinjuku
We are playground basketball residents like pikeys!!!
リノベーション後、2022年7月末から利用可能になった大久保公園。それ以降、go parkey代表のABのもとには、「この美しいプレイグラウンドはどこにあるのか」「撮影可能か」。そういった問い合わせが世界中のフーパーから届いた。国内では浜町公園のプレイグラウンドとともにNEWS ZEROやGoing!などで取り上げられ、海外のメディアからもオファーがいくつかあった(あいにくこの公園恒例の秋のフードショー会期中でコートは隠れてしまっていたが)。自画自賛ではなく、本当に美しく完成度が高すぎるプレイグラウンドとして、多くの人に知ってもらった。第一弾の浜町公園も美しく、周囲との調和が取れた素晴らしいアートコートだったが、大久保公園に関しては摩天楼にぽっかりできた陽だまりのような大きなサイズに強烈な明るいカラーが注目を集めた。これは、アーティストFATEが、カナリーとキーライムとユーエスブルーの輝く3色をメインにして作品を練り上げたからだ。
歌舞伎町界隈を何度も歩き、街を肌で感じ取ったFATEは、この場所がもっとも必要としている明るさを描くことにした。それを我々はライトエナジーと呼んだ。そもそもFATEの作品を選んだのは、このプロジェクトのファウンダーであるケビン・デュラント(世界最高峰プロバスケットリーグNBAのスーパースター。念のため)。名だたるアーティストたちのドラフト作品から、瞬時にFATEを指名した。そんなケビン・デュラントとgo parkey代表のABはニューヨークのストリートリーグの合間に遭遇している(写真参照)。それから11年後。このような形(街と人にコートをリノベしてフィードバックする)で再会するとは思ってもみなかった。当然、とても良い出来事だった。ただ、工期が梅雨の6月後半スタート。天気をなんとか味方につけながら7月30日までに仕上げなくてはいけない。ペイントだけでも相当な量になる。ましてや、ミリ単位で正確なラインを描いて作品にするFATEが、この広さをどうやってドローイングするのか。壁は高かった。
何度か雨に降られたが、その中で傘もささずに無機質なコートにひたすらドローイングをしていたFATEの姿を忘れることはできない。その後、キッズやボーラーたちがペイントに参加してくれた。全員が器用なわけではない。色ムラができて、後処理をする手間が増えることも少なくない。しかし、浜町公園のときもそうだったが、ローカルの人たちにペイントに参加してもらって、そのプレイグラウンドへの帰属性意識をもってもらうのも我々の理念。ミューラルのときは正確無比な完成度にこだわるFATEも、そこは事前に理解を示してくれていた。このときのFATEの覚悟が、完成イベントのときのコメントに繋がっている。「このコートの上で今日みんながプレーしているのを見て、それも加わって、ようやく完成したんだなと」(go parkey YouTubeチャンネル参照)。芸術作品を踏みつけて走るというのは、美術館ではあってはならない。しかし、アートコートならそれでこそ完成形なのだと、FATEをはじめスタッフ一同で再確認したのだった。
go parkeyは完成日と完成美を漏らしたことはない。大久保公園は梅雨の真っ只中でのペイントだったが、それでもクリアした。晴れた日はそれはそれでハードで、気をぬくと熱中症か日射病になりかねない。南中高度の真夏の太陽ビームを一身に受けながら、照り返すコートに正眼してペイントする。こういう時のコツは、適度に水分補給をすること。そのうちの三度に一度はアイスを食べること。日焼け止めをちゃんと塗ること。そして、イヤホンをして心地よいBGMを味方につけて集中することだ。個人的には、2022年夏、大久保公園の1曲はタジ・マハール『君の明日はもう来ない』だった。軽快な懐メロ的な歌で、これを聴き流しながら、大久保公園のユーエス・ブルーのほとんどを塗ったと言っていい。ちなみにベテランのペインターはいつもクラシックを聴きながら塗っているらしい。アートコートの仕上げに、アーティストFATEがこのプロジェクトのファウンダーである、ケビン・デュラントと2Kの両ファンデーションのロゴを象った。
ロゴ入れが済んだコートに、go parkeyがもっともカッコいいと思っているオランダ製の可動式のシェルデのゴール(空輸)を設置した。これは2Kも同じ考えで、大久保公園のこの美しいアートコートにはシェルデがマッチするだろうということだった。ローンチイベントは地元の高校生や中学生によるピックアップゲーム。それに新宿区の吉住健一区長とアーティストFATE、そしてgo parkey代表ABのリボンカットと、キッズたちへアートボールの寄贈も行なった。本来は、ケビン・デュラント本人も来場したいと言ってくれていたが、コロナ・パンデミックの再燃と日程調整がうまくいかなかった。フードショー会期中は使用できなかったが、その後は一般開放して、当日来て受付すれば誰でもプレーできるようになっている。実はここも大切な部分で、なるべくgo parkeyはリノベーション後、一般開放して誰にでもドアが開いているコートであるのを望んでいる。市町村が管理する公園が多くなるのはその部分が大きい。
リニューアルオープン後、バスケット的トピックなのは、12月10日に開催されたballaholic special pick up gameだろう。このとき、長年、日本のストリートボール・シーンをリードし、記録してきた人物TANAの処女写真集『Ballaholic』に収録された写真も展示された。来場したギャラリーやボーラーが思い思いにそれを剥がして持って帰っていいというもの。これはニューヨーク・シティのプレイグラウンドで見かけられたもので、撮ったフォトグラファーがシーンへとフィードバックする意味合いが強い。バスケットのメッカで見た光景が、新宿・歌舞伎町のプレイグラウンドでも繰り広げられていた。そのようなカルチャーが派生する場所としても、公園バスケ(アートコート)には光明が射している。それまで、世界有数の繁華街であると同時に風俗街とか大人の世界といったイメージが強かった歌舞伎町。そこに、明るく美しい公園として再生されたプレイグラウンドがあり、多くのキッズやラブ・ゲーマー(ボーラー)がやってくるようになったのである。